東海地方渓流釣行 Vol.93
Jun.14.2014 高橋 誠
どうしてもサクラマスを釣らせてあげたい男がいた。 サンドラ・マクハリマ。 南アフリカで世話になり、そして昨年から1年間、日本に研修に来ている元同僚だ。 5人兄弟の長男である彼は、貧しかった幼少期、親や兄弟の為に色々な事を我慢して来たらしい。 もちろん釣りもだ。 子供の頃と言えば、誰しもがこの遊びに夢中になり、やがて大人になっても、童心に帰れる素晴らしい趣味である。 でも・・・ アフリカに生まれ育った彼は、そんな幼少期に恵まれなかった。 釣り、ましてやゲームフィッシングなど、永遠の憧れだったのだ。 有る日の事、私が釣り気狂いだと聞いた彼に、「Takahashiさん、僕を釣りに連れていってくれないか」と、真剣な眼差しで頼まれた。 もちろんだとも、断る理由なんか無いじゃないか!! そして、偉知郎さんと、私の仲間達に会った事で完全に彼のハートに火が付く。 通り過ごしてしまった過去をCatch-up(取り戻し)したい。 できれば、日本でしか釣れない魚「サクラマス」をキャッチしたい!!! そこから、彼がサクラマスを追う日々が続く。 しかし、ランドロックを含め、色々な所に繰り出してみるも、やはり相手はサクラマス、中々姿は見せてくれない・・・ 釣れるのはウグイばかり・・・ そんな中、フィールドスタッフの喜多氏より、シーズン終盤に来て、サクラマス連続キャッチの朗報が届く。 南アフリカへ帰国前のラストチャンス。 よし、北陸に行こう! ・・・でも、神様はとても意地悪で・・・ 喜多氏にガイドをお願いした前日、思いもよらない集中豪雨が北陸を襲う。 「高橋さん、北陸は危ないから来ない方が良いです・・・」 1m以上の大増水、200を超える濁度。 急遽宿もキャンセルし、サンドラと2人途方に暮れる・・・ 「Takahashiさん、気にしないで!自然が相手だからしょうがないよ」 最大のチャンスを逃してしまって落ち込む自分に、真っ白な歯の笑顔で彼が私を慰める。 やむを得ず、大雨の影響の出ていない東海地方の渓流に方向転換。 ここまで来たら、狙うは大アマゴ&大イワナ。 サクラマスじゃなくてゴメンよ・・・(T_T) 過去、実績のある河川を夜が明ける前から攻めてみる。 この日は、サンドラのガイドに徹することに決めていた。 最後のチャンス、どうしても彼に笑顔で帰ってもらいたい。 困った時の信頼のBe-Flatを彼の竿先につなぎ、渓流での流し方をレクチャー。 と、言いながらも、彼の後を、プロトロッドのテストでフォロー・・・(笑) 自分にはまずまずのトラウトが掛かるものの、先行するサンドラにまだトラウトはコンタクトしない・・・ そして、完全に日の上がった正午、瀬の落ち込みの岩盤ポイントで・・・ 「ゴメンTakahashiさん、根掛かっちゃった!」 オッケー、オッケー、今外しに行くよ〜 ・・・根掛かりじゃ無い! 彼の支えるラインの先には、今まで見たこともない大物の銀色のフラッシングが!!! 私:「サンドラ、リール巻け!!」 サンドラ:「Takahashiさん、巻いても巻けないんだ〜泣」 いやいや、デカイ! 意を決して、自分がウエーダーのままランディングネット片手に胸まで水に浸かり飛び込む・・・ ネットに収まったのは・・・ なんと37cmのモンスターアマゴ!! 歓喜を上げ、川の真ん中で良い大人の男二人が抱き合う。 サンドラの震えが止まらない。 ネットとアマゴを支える手の震えが止まらない。 彼の膝の震えが止まらない。 わかるな〜その気持ち! 色々なことがあったけど、このアマゴに彼の苦労が報われた気がした。 通り過ごしてしまった幼少期を取り戻した「大人」の彼。 偉知郎さんに頂いたキャップと、モンスターアマゴをキャッチしたBe-flatを持って、 南アフリカでこの釣りを続けてくれると思う。 彼からのメッセージ I will carry out our spirits and show our way of fishing at South Africa. 僕は、この釣りの魂を継承し、我々南アフリカらしい釣りを展開します。 SOULSのポリシーである、Indomitable Souls 「決して折れない心」を、彼に見た気がします。 We are still here!! Carry out your sprits!
ロッド保証規定はこちらから
釣果情報、画像はこちらから
メールで注文して頂いております小売店様、只今サーバーに不具合が生じておりますのでメールが届いていない可能性があります。大変申し訳ありませんがFAXでの注文をお願い申し上げます。 ご迷惑をおかけしまして大変申し訳ありません
会社概要